あれは小学校3年生、冬休み明けの3学期初日のことだったと思う。
先生がみんなに、年賀状を何枚もらったかな?と教室で聞いたんだ。
「10枚以上もらった人、手を挙げてー。」
運動ができてクラスの人気者のA君や、女の子たち間でリーダー格のBちゃんが手を挙げる。
「じゃあ、9枚!」
「8枚!」
「7枚!」
・・・
「1枚。」
「・・・0枚。」
手を挙げたのはO君だけ。彼はいじめっ子でも、いじめられっ子でもなかった。ただ、クラスの誰とも年賀状を送りっこするほどの関係を持っていない、「ああ、言われてみればそうだ。」という感じの子だった。
手を挙げるO君の横顔を今でも思い出せる。手を挙げる彼の気持ちを考えると、今でも胸が詰まる。僕もO君と普通に話はするものの、放課後に一緒に遊びに行くほどは親しくなかったんだけど。
まだ小さな子どもの時に、あんな残酷なかたちで孤独の味を知った彼は、その後どんな人生を歩んだんだろう。毎年この時期になるとO君のことを思い出し、会って話をしてみたいと思うんだよね。
どうしてる?大久保君。
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